★3.5、庵野監督作品に耐性があるなら楽しめそう!!『シン・仮面ライダー』【アマプラ】

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庵野秀明監督によるシンシリーズ『シン・仮面ライダー』。
石ノ森章太郎先生原作の仮面ライダーをあり得ないほどの熱量でリスペクトし再構築した本作。
公開当時あまりにも賛否がはっきりとわかれていたため、二の足を踏んで劇場に行かなかった…、いや、ビビッて行けなかった…。
というのも筆者は三十路のため平成ライダー初期のクウガ・アギト・龍騎くらいしか視聴したことがなく初代仮面ライダーは断片的な情報しか知らなかったため、仮面ライダーファンによる仮面ライダーファンのための作品なのだろうと思ってしまっていた。
そんな本作が7/21よりアマゾンプライムビデオで配信が始まったので早速視聴してみた。

はじめに

実際のところ仮面ライダーファン向けの作品なのは間違いないのだ。
初代仮面ライダーという素材をリブートして誰にでもわかりやすくかつ派手なアクションで魅せる―。
そんな作品ではない。
るろうに剣心のような最強の大衆向け傑作ではない。

ところどころ明らかに画質が悪いコマはあるし、しょっぱなのチェイスシーンなんて迫力ありそうに見えて少しでも引きのフレームになるとスピード感なくなるし、コウモリオーグなんてCGのクオリティ低すぎて見ていて目を背けたくなるほどにツライし、頭突きのシーンはそこだけ撮っているからぼっ立ち感が見ているこちらが恥ずかしくすら感じる。
そんな感じで「ん?」と違和感を覚えるところがかなりある。

『仮面ライダーという作品に恩返しがしたい』

パンフレットで庵野監督はこのように語っているのだそうだ。
特撮が好きな庵野監督。
画質が悪いのは当時の再現、チープなアクションシーンも再現、そう思って視聴すると楽しみ方がわかってくる気がしてくる。

『シン・仮面ライダー』は頭空っぽにして楽しめる、そんな作品ではなかった。
まぁ庵野監督の作品見るのにいまさらそんな大衆作品求めている人は少ないかもしれませんが…。

エヴァに似た視聴方法

視聴後真っ先に思った点として、尺が圧倒的に足りていない。
2時間の中でクモ、コウモリ、サソリ、ハチ、2号、K・K、0号、群生相の合計8回もの戦闘シーンがある。
そのため用語の説明が足りない事態になってしまっている。
本郷猛は初めから改造されているし、プラーナってなに?ってなるし、バットヴィールスに至ってはもっとわけがわからない…。
尺を収めるために、1から説明するのではなく、まず「プラーナ」という単語を会話の中に当たり前のように混ぜ込む。
すると視聴者の頭上に?が浮かんでいるだろうから少しだけキャラに説明口調で解説させる。
そんなことを何度も繰り返す。

ここでまず置いてけぼりを食らう。
そしてここが『シン・仮面ライダー』を楽しめるかどうかの初めの分岐点。
ひな鳥のようにただ口をあけてじっと説明されるのを待っているだけでは庵野監督作品は楽しめないのだ。
自分から咀嚼しにいかなければならない。
これはエヴァで散々公開まで待たされて暇な時間に考察するしかやることのなかった庵野監督経験者ならフィーリングで乗り切れる。
とはいっても結局バットヴィールスはなんやねんってなるんですけど。

もうひとつの分岐点は特撮リスペクトなチープ演出。
クモオーグに連れ去られたルリ子を助けるためにサイクロン号に乗り込み、ダイナモに風を取り込む。
サイクロンに跨ったまま手放しで立ち上がりマスクの目がシャキンという効果音とともに発光する―。
クモオーグと対峙し次のコマではショッカーの軍勢が目の前に現れ仮面ライダーを名乗る本郷に襲い掛かる。
ショッカーの攻撃を跳躍で避けるライダー。それを下から煽る特撮お馴染みのシーン。
負けじとショッカーもカメラを跨いで追いかける。こちらも特撮お馴染みのシーン。
バックでは「レッツゴー!!ライダーキック」が流れる。
容赦なくショッカーを殴り、顔面にストンピングを食らわせるライダー。

このシーン興奮しませんでした?
サイクロン号の変形はすごくかっこいいし、タイフーンも腰に巻きたくなる。
子供向けなアクションではなく結構グロい倒し方もする。
そしてなによりレッツゴー!!ライダーキック。ペガサス幻想かよってくらい盛り上がる。
個人的な希望としては全編このテイストで戦闘シーンは作って欲しかった…。
クモオーグにライダーキック食らわせるシーンはどことなくチープ感があるのにとてもかっこいい。

しかし、だんだんと雲行きが怪しくなっていく。
コウモリはバットヴィールスがわからなくて気になったままなのにCGが浮いててそっちも気になって集中できない。
サソリはライダーが相手しないからまともなマスク作ってもらえてないし、カットが細かすぎてなにが起きているかわからない。
ハチはマスク含め衣装はかっこいいのに説明が足りないからいきなりサーバーの話をされても意味がわからず、肝心の戦闘シーンがアニメーション風になってしまっている。

2号との戦闘シーンは好きでした。
飛び上がって拳を合わせるシーンは興奮しましたし、その後の飛び回るシーンはキャラが小さいため迫力はあまりないのにジオラマ感があって特撮っぽさを味わえる。

一番ひどいのは0号との戦闘。
それまでの超人的な動きはどうした?ってレベルでライダーたちは0号の拳に己の腹を差し出す。

こんな感じで多くの戦闘シーンはただボケっと見ているだけでは違和感が先行して楽しめない。
遊園地のヒーローショーを見に来ているわけではないのだ、庵野秀明の作品を見に来ているのだ。
こちらも少々歩み寄る姿勢が求められる。

バットヴィールスは初代の予習をしていれば人を操るウィルス的なものだと察しがつくしサイクロン号からのライダーキックは興奮するポイントだ、サソリは長澤まさみの足を見ながらこんがらがった脳みそのブレイクタイムにはなるしネームドヴィランを脇役が倒すというのはセオリーから外れてて面白味がある。

ハチは上空から飛び降りダイナモに大量の風を取り込むことで爆発的なエネルギーを生みサーバーを破壊することに成功する、ただ1号がサーバールームに行くのではなく上空から攻めるのがポイント。
このハチに関しては説明不足が否めない、敵の数を減らすか2部構成にして尺の余裕さえあればサーバーが人を操ることに関係しているロジックや、1号はダイナモに風を取り込む必要があるから遥か上空から攻めているということも理解出来るし、ついでに2号の変身がどうすごいかの説明も出来たはずだった。

群生相のショッカーライダーがウィリーしながら迫ってくるシーンはエヴァっぽいなぁと思っていた。
言ってしまえばお兄さんの目的は人類補完計画だよなぁなんて思ったりもする。
同じ監督だから同じようなシーンが出てくることも当たり前だし、こちらもエヴァと同じような視聴スタイルで臨む必要があったのだ。
よくよく思い返せばシンエヴァも映画館を出た後、あれが気になる、これはどういう意味なのかと考察系サイトや動画を漁ったことを思い出した。
現に今視聴後の勢いでこの記事を書いているのだが、プラーナやバットヴィールス、0号の元ネタなどわからなかったことを調べている最中だ。

このように『シン・仮面ライダー』を視聴するには他の庵野監督作品、特にエヴァと同じようなスタンスで視聴をおすすめしたい。常にキャラクターの向こうにいる庵野監督を想像することも忘れずに。
そうすればセリフまわしがオタクっぽかったりするところもすんなりと受け入れられるし、チープなシーンも1970年代特撮物へのオマージュだと受け入れられる。
ハチや2号が本郷の準備ができるまで待ってくれる侍スタイルなのも古風でいいじゃないか。

こうして欲しかった

不満もあるが正直面白かった。
楽しめるかどうかは庵野監督作品への耐性で決まるので友人にはお勧めしないがエヴァ好きには楽しめると思う。
実は筆者、『シン・ウルトラマン』や『シン・ゴジラ』は楽しめなかったクチなので不安な気持ちで視聴をしましたがこの三作の中ではぶっちぎりで面白かった。

ただひとつ希望としては特撮へのリスペクトよりも視聴後にただただ「仮面ライダーかっけええ」となれる作品が見たかった。
それならイマドキのライダー見なよと言われてしまうかもしれないが、初代仮面ライダーのビジュアルで見たいのだ。
公式サイトのポスターを見てもらいたいが、仮面ライダー1号、2号(2+1も)のビジュアルは

超ーーーーーーーーーーかっこいい。

特にマスクから襟足が飛び出ている1号のデザインは最高だ。
CBがベースになっているサイクロン号もかっこいい。排気音がしょぼかったからマフラーはいじって欲しかったけども…。

今回の『シン・仮面ライダー』で仮面ライダーへの恩返しは出来たと思うので機会があればまた別の初代仮面ライダーリブート作品が見てみたい。

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